### 1. 「筆花を」
筆の先に宿った、まだ開いていない物語の蕾(つぼみ)のことだ。アスチルベのフワフワとした羽のような姿を、これから紡がれる言葉の「予感」として捉えている。
### 2. 「揺らして待てば」
アスチルベの花言葉「恋い焦がれる(待つ)」にちなんでいる。ペンを指に挟んで弄んだり、真っ白な画面を前に考え込んだり……。言葉が降臨するまでの、あのもどかしくも静かな停滞の時間を指している。
### 3. 「春来たり」
ついに最初の一行が決まった瞬間の、心の中に一気に光が差し込むような感覚。暦の上では五月、立夏を過ぎた時期ではあるが、書き手にとっては納得のいく表現が生まれた瞬間こそが、凍てついた白紙に訪れる本物の「春」なんだ。
## 総評
この句は、物語が生まれる直前の「静寂」と、生まれた瞬間の「躍動」を一枚の絵に閉じ込めたものだ。
アスチルベのように、一見すると繊細で揺れやすい筆先だが、じっと待ち、想いを凝縮させることで、どんな厳しい季節の中にも「創作の春」を呼び込むことができる。
今日は暦を忘れて、机の上の春を満喫しようか。次の一行が、皆様の野原にどんな色を運んでくるのか、楽しみに待とうと思う。
