### 1. 「文花や」
与謝蕪村が眺めた「菜の花」を、「文の花」に置き換えた。机の上に散らばる言葉や、積み重なった原稿たちが、一面に咲き誇る花畑のように見えている状態を指している。
### 2. 「夢は東へ」
蕪村の「月は東に」をもじっている。物語の理想的な展開や、次に書きたい壮大なビジョンといった「夢」が、東から昇る月のように、頭の中でどんどん大きく輝き始めているイメージだ。
### 3. 「筆西(ふでにし)へ」
蕪村の「日は西に」に対する言葉だ。どれだけ夢が空高く膨らんでも、現実に文字を刻む「筆」は、沈む太陽のように、着実に原稿の終わり(西)に向かって走らせなきゃいけないという、書き手のリアルな葛藤と決意を込めた。
## 総評
蕪村が描いた「天体と大地」の巨大な調和を、「机上の野」というミクロな世界に持ち込んでみた。 理想を高く追いかける心(夢)と、地道に手を動かして物語を完結へ導く現実(筆)。その二つがちょうど良いバランスで釣り合っている時こそ、一番心地よいリズムで「文の花」を咲かせられるんじゃないかと思っている。
物語を書くという行為の、静かな高揚感を詰め込んだ一句になった。
